全ての子ども達にたっぷりの愛と自然とのふれあいを。
子育てを支え合い、喜びに満ちあふれた社会の実現を目指します。
子ども達よ、命の根っこを輝かそう。
森で、海で、里で、この空の下で。
(2014年 NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟)
森のようちえんの始まりは、1950年代のデンマーク。エラ・フラタウという一人のお母さんが自分の子どもと近所の子どもを森で育て始めたことから始まったと言われています。
日本でようやく定着し始めた森のようちえんは、世界的に見ると70年ほどの歴史があるのですね。
そして、始まりは一人のお母さんだった。そう思うと、なんだか勇気がもらえませんか?
森のようちえんは北欧に広がり、1990年代ドイツで環境問題を背景に爆発的に急増。ドイツの森のようちえんは、園舎と園庭を持たず、毎日年間を通じて森に出かける幼稚園。自治体の公認となっており、ドイツ全土に400以上あると言われています。日本のお隣・韓国や中国でも、早期教育・学歴偏重の揺り戻しから、森のようちえんが急速に広がっています。
日本には以前から、母親を中心に子どもを自然の中で預け合う「自主保育」「青空保育」という活動が連綿とつづいていました。そこに「森のようちえん」という概念が1990年代に紹介されたことで野外保育の価値が再認識され、志ある市民によって広がってきました。
2005年から、全国の森のようちえん関係者が年に一度集う「森のようちえん全国交流フォーラム」が始まり、2008年には森のようちえんを普及・発展させていく「森のようちえん全国ネットワーク」が設立されました(現在は「NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟」)。
日本では特に2011年頃から急増してきており、連盟調べによると「森のようちえん」という名前の活動をしている団体は全国で250以上あると言われています。
ではそもそも、「森のようちえん」って何なのでしょう。
「森」
森、海、川、野山、里山、畑、都市公園などの身近な自然
「ようちえん」
幼稚園、保育所、学童保育、自主保育、自然学校、野外活動団体、育児サークル、子育てサロンなどの子育ての場
日本でいう「森のようちえん」とは、身近な自然環境(森、川、海、里山、畑、都市公園など)の中で幼児を育てることでスタイルが様々あることが特徴です。
ちなみに、「ようちえん」と平仮名表記されているのは文部科学省が定めた認可の幼稚園と区別するためです。
(認可を受けている森のようちえんは「森の幼稚園」と漢字表記されることがあります)
日本の森のようちえんは、
●園舎があるかないか
●運営母体(保育者・野外活動指導者・自然学校・親・既存の幼稚園や保育所など)
●活動頻度(毎日・週○日・月○日・季節ごとに○日など)
●目的(保育・自然体験など)
●形態(子どもだけ通う・親子で/イベント型・そうでないもの)
が団体によって様々で非常に多岐にわたるのが特徴です。
志ある人々が草の根から立ち上げてきた活動であるためです。
すべてに共通するのは、人生を生き抜くための根っこが育つ幼児期に自然に触れて育つことが重要だという考えと、年間を通じて森に出かけること。また、大人の考えを強要せず子ども自身の考える力・育つ力を信じて見守る大人の姿勢です。
日本では、2008年に設立されたNPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟が森のようちえんの普及・広報、さらには全国の森のようちえんの質の向上に尽力しています。森のようちえん指導者養成講座が各地で開催されている他、2019年度からは、森のようちえんの安全性を向上する目的で団体安全認証制度とそのための講習会もスタートしました。
2019年10月から始まった幼児教育・保育無償化では、森のようちえんが制度に組み込まれるよう、国や行政との話し合いや連携などにも尽力しています。
森のようちえん まめとっこは、森のようちえん全国ネットワーク連盟の団体会員です。
指導者養成講座を受講したスタッフが保育に携わっています。また、団体安全認証を第1期で受けています。
草の根から始まった森のようちえんは、国や行政からの補助がなく、創設者や保護者など志ある当事者たちが運営や保育にかかるお金を出し合って発展してきました。ところがここ数年、自然の持つ教育力や乳幼児期の自然体験活動の意義が広く認識されるようになり、行政も推進の動きを見せています。
2015年、長野県が「信州型自然保育認定制度(信州やまほいく)」・鳥取県が「とっとり森・里山等自然保育認証制度」を創設。認証園に対して、運営費などの補助を行っています。
それにつづき、ここ広島県でも2017年全国で3番目に「ひろしま自然保育認証制度」を創設しました。認証園に対しては研修費が補助されています。まめとっこは、代表石井が広島の実践者を代表してこの制度の創設に携わり、第1期でⅠ型認証を受けています。
また、この3県知事が呼びかけ人となり、2018年「森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク」が設立されました。森のようちえんをはじめとする自然保育を推進・応援する自治体の、交流・連携等を通した情報共有・発信、調査研究、人材育成などの促進に取り組む自治体のネットワークです。
2019年10月にスタートした幼児教育・保育無償化は「すべての子どもが対象になるわけではない」など大きな課題が指摘されるところですが、その対象から外れる家庭がなくなるよう、制度の是正が期待されます。
2020年1月29日には、衆参議員17名を発起人とする「森のようちえん振興議員連盟」が発足しました。今後、“自然の中で主体的に遊びを展開し、健全な発育・発達を促す”という森のようちえんの特質を活かした幼児教育の支援が国政レベルで検討されていく見通しです。